- 2019.06.19 -

こんにちは、ODEKO代表の原です。
先日、縁あって「viscuit(ビスケット)」というプログラミングツールの講習会に参加しました。この記事はその講習会のレポートになります。

原田先生から卒業証書をいただく

当初は身内向けにレポートを書こうとしていたのですが、
ビスケットがやっていること、伝えたいことが、親さんや地域の人にも参考になるなあと思い
ブログ記事として紹介させていただきます。
(有償セミナーのため、くわしい講義の内容などは伏せてます。)

viscuit(ビスケット)ってなに?

画像は公式サイトより

viscuit(ビスケット)とは、プログラミング言語の研究者、原田先生によって開発された、スクラッチやSwiftと同じようなプログラミングツールです。
PCでもタブレットでも動きます。

ビスケットという名前は有名だったので、
私もサイトはちょこちょこ拝見したり、事例は聞いていたものの、
自分は使ってみるまでには至っていなかったビスケット。
興味がでたのは、この”水族館”の展示でした。

子どもたちの絵が泳ぐ”水族館”

こどもたちが自分の指で魚の絵を描き、青い海の大画面に「送信」。
すると、大画面の水族館の中にその子の魚が登場する、というワクワクするこの展示。
正式には「ビスケットランド」という名前で、誰でもすぐ実践できるようにパッケージが配布されています。

巷では昨今、いろいろなプログラミングのツールが生まれています。
でも、目の前のパソコンの画面の中だけで楽しむものが大半。
他の画面と通信したり、たくさんの作品を一同に集めるというビスケットのような仕掛けは、
以外と実現が難しいのです。

全国からの参加者が集結

じつはこの講座、けっこう参加費はお高めだった・・・のですが、
私が申し込んだ時点ですでに残席わずか。
関東圏のみならず、九州や東北からプログラミング指導者の方が集まり、
場内は熱気に満ちていました。

「プログラミングのややこしさ」を出来るだけなくす

講義の始まりはビスケットの開発ストーリーから。

プログラミング教育が世の中で盛り上がってきたのは、この数年のこと。
ですが、まだ世の中がスマホやAIで溢れていない時代から、
「プログラミングを普通の子どもにもなじみやすいものにしたい」と願い、2003年に開発されたビスケット。

16年たった今もなお、ビスケットは世の中の子どもたちに愛されています。
それどころか、日々子どもたちとの実証実験を重ねながら、
鋭意検証・改良を重ねているとのこと・・・!(驚)

「粘土」と「めがね」

ビスケットはほかのプログラミングツールと比べると、独特の世界観があります。

原田先生は、ビスケットを「粘土」に例えてらっしゃいます。
プログラミングツールというと、記号や四角など無機質なマテリアルが想像されますが、
ビスケットはより有機的に、粘土をこねるように表現をするツールなのです。

よく見ると、ボタンも「粘土」っぽいデザイン

そして、インターフェイスの最大の特徴は画面の中にあるこの「めがね」。

たとえば▲のイラストを動かしたいときは、 めがねの左側に指で描いた▲を入れ、

もう一方のめがねにも▲を入れますが、 その際のポイントで、少しだけ位置をずらします

すると、ずらした分の角度で▲が動きつづけるアニメーションが完成。

・・・簡単!!! 
言葉で細かく説明しなくても、ちょっと触っていればできてしまいそうな簡単な仕組みです。
(逆に感覚的すぎて、記事では説明しにくいです。w)

大ざっぱ、だがそれがいい

他のプログラミングソフトに慣れている子や、
現役のプログラマーの方はもしかすると、
「大ざっぱな言語だなあ・・・」
と感じるかもしれません。

スクラッチなど、よくあるビジュアルプログラミングの言語では
動きはかならず【数字】であらわします。

例えば
・傾けたいときは「15度ずらす」と指定したり。
・前に進めたいときは「3秒前に」と指定したり。

それに比べると、「ずらした分だけ動くよ〜」というビスケットの仕様はかなり大ざっぱです。
ですがそこに、ビスケットのメッセージが込められているのです。

世の中のコンピュータも「めがね」の集まり

小学校のプログラミング教育で歌われているのは「論理的思考」。
ロボットの気持ちになって、ロボットみたいに理路整然と考える力を身につけよう。ということです。

でも、そのきっちりした感じが、そもそも苦手な子どもも少なからずいるでしょう。 私はロボットなんかじゃないのに・・。と。

めがね2〜3個でできる、ビスケットの「動くアート」の例

ビスケットは、そんな感覚重視の子でも楽しくいじれるように工夫がされています。
触っているうちに、「ずれた差のぶんだけ動く」ということを自然に理解していくはずです。

世の中には複雑なコンピューターがあふれていて、その仕組みはむずかしすぎてわからないけど、
1つ1つほぐしていけば、この「ずれるめがね」と原理は一緒。

必要なのは難しく考えることじゃなくて、
「この道具でこんなものが出来るかも!」というアイデアなんだ。

そう言ってあげることで、
子どもたちのハードルはかなり下がることでしょう。

よく分かんないけど続けてたらできた、も大事

かく言う私も、実はそこまでロジカルな思考ができないタイプです。

でも、数年前にある知人の一言で、苦手だったプログラミングへの抵抗感がなくなり、
今ではプログラミングの仕事もできるようになりました。

その人は私にこう言いました。
「プログラミングはややこしいけど、とりあえず人の真似でいいんだよ。
真似してちょっと変えたりしているうちに、気づいたらできるようになってるから。」

世の中はどんどんAIなどのテクノロジーが増えて、
プログラミングに関わる職業は増えていくと言われています。

でもそういう業種につく人全員が、1から100まで理解していないとダメか、と言われると、そうでもないはず。
私のような「仕組みは100%理解していないけど、やってる」というタイプの需要もきっとたくさんあるはずです。

だから、子どもたちがファーストステップで挫折せず、
まさに”粘土をこねるように”プログラミングで遊べる「ビスケット」というツールは、とても価値があるなあと思います。

ビスケットはその分かりやすさから、
障がい学級や高齢者の講座に使われることも多いのだとか。

絵を描くように感覚的にプログラミングをする人もいて、
ロジカルに理論的なプログラミングをする人もいて、
その垣根がどんどん無くなると、面白い未来の人材が生まれる予感がします。

結論:ODEKOでもやってみたい!!

他にも様々な熱いトピックスをいただきつつ、講義は終了。

ODEKOでの具体的な実施は未定ですが、出来るだけ早く、 ビスケットのワークショップをぜひやりたいな!!と感じた1日でした。

©ODEKO Nakatsugawa,Gifu